2. GMAT


GMATとは

GMAT (Graduate Management Admission Test)は、ほとんどのビジネス・スクールが受験者全員にスコアの提出を義務づけている、共通テストです。

Quantitative(数学)、Verbal(国語=英語)、AWA(エッセー二本)の三つパートからなり、QuantitativeとVerbalのふたつの組み合わせでトータルスコアを出し、AWAスコアはトータルスコアには組み込まれない外数扱いになります。Quantitativeはさらに問題形式により、Problem Solving とData Sufficiencyに、Verbalは同じくSC (Sentence Correction=、CR(Critical Reasoning)、RC (Reading Comprehension)のパートに分けられます。

帰国子女ではない日本人にとって、Verbalで高スコアを上げるのは至難の技です。米国人や英国人のような英語を母国語とする人間が受験する「国語」の試験ですから、「外国語」としての英語能力を試験するTOEFLとは、当然ながらレベルがまったく違います。帰国子女ではない日本人にとって、RCを含めてVerbalを全問しっかり解く、というのは最初から諦めてかかった方がいいでしょう(少なくとも私はそうでした)。

このようにVerbalが超難問である以上、日本人がGMATで英語ネイティブに伍してハイスコアを取ろうと思うと、Quantitativeで限りなく満点(51点)に近いスコアを出すことが不可欠となります。できれば満点の51点を取りたいところですが、恥ずかしながら私は最後まで取れませんでした。

GMATのトータルスコアは800点満点ですが、近年のGMATスコアのインフレは顕著であり、トップスクール合格のためには「700点」というのが、ひとつの目安となっています。

しかしながら、当然ながら700点取りゃそれでOKというものでもなく、700点取れないからダメだというものでもまったくありません。GMATはあくまで、数ある評価軸のひとつに過ぎません。どうしても、我々はGMATを受験している時期には、GMATのことを少し過大に考えてしまう傾向にあるようですが。


私のGMATスコア推移

Date

Total

Quant

Verbal

AWA

Remarks

07/29/00

540
(54%)

42
(75%)

22
(25%)

3.0
(12%)

茅場町で初GMAT。スコアを見て大ショック。試験会場前で配られていたマイスター(予備校)のチラシを眺めつつ暗澹たる気持ちで帰宅。しかし、ウン十万の受講料の前に、嫁さんに「この講座受けてもいい?」と言い出す勇気なし。

08/19/00

640
(61%)

49
(93%)

27
(43%)

3.5
(26%)

茅場町。夏休み朝から晩までGMAT漬けになって、Official Guideを解きまくったところ、前月より100点UP。「意外にGMATって簡単なんじゃん」と勘違い。その後の伸び悩みにつながる。

09/30/00

650
(85%)

50
(97%)

28
(48%)

3.5
(26%)

茅場町。「さくっと700超えてGMAT卒業だ!」と意気込んで行くも、前月よりもわずか10点UPでがっくり。「セルゲイ・ブブカ状態」と命名。

10/21/00

610
(74%)

48
(90%)

26
(40%)

3.5
(26%)

茅場町。エッセーカウンセリングも始まり、徐々に焦リはじめる。「このままGMAT・TOEFL・エッセーの三本立てで推移したら、やばいことになる」と、一ヶ月間GMATにかなりの力を注ぐも、結果は逆に40点ダウン。「まじすか?」画面の前で固まる。帰宅する道の長かったこと。

11/25/00

590
(68%)

50
(97%)

21
(22%)

4.0
(43%)

新横浜。エッセーが佳境に入り始める。「何が何でも700点」と、超入れ込んだ状態で会場入り。手応え十分も結果は逆に2ヶ月連続のダウン。バーバル自己最低点に、自信喪失とGMAT不信強まる。暗い夜道を帰りつつ、自宅の嫁に携帯で結果を報告した時の気持ち、忘れがたし。

12/16/00

640
(81%)

50
(97%)

27
(43%)

4.5
(63%)

新横浜。いよいよ数校のインタビューも受け、アプリケーションも出し始める時期。何とか悪化傾向に歯止めはかかったものの、自己ベストならず。やむをえず、9月のスコアで年内出願の志望校には提出する。

1/9/01

700
(93%)

50
(97%)

34
(70%)

4.0
(43%)

新横浜。アプリケーション提出のピークでふらふらになりながらも受験。しかも午前TOEFL・午後GMAT・夜エッセーカウンセリングの超ハードスケジュールも、なぜか初の700点を出す。スコアが出た瞬間、「え?」。これまたしばし固まる。

TOEFLほどではありませんが、GMATも決して順調とは言えない道のりでした。二回目の受験で640点を取ってから点数は伸び悩み、実に精神衛生上よろしくない状態が長くつづきました。


GMAT勉強方法

Quantitative

初めてGMATを受験した時は数学用語が分らずQuantitativeは42点と轟沈しました。その後、Official Guideで単語をすべてまとめてからは安定して50点前後が出るようになりました。個人的にはOfficial Guideの問題を一回解いた後に間違えた問題を何度か解いた以外の勉強はしていません。GMAT本番直前は勘を維持する意味で、必ず20−30問は時間を計って解くようにはしていました。

Verbal

CRはどういうわけか好きでしたので、特にそのための対策をしたというようなことはありません。予備校ではCRのパターンをいくつかに類型化し、それに基づいたストラテジーを教えてもらいましたが、私はそれを意識するとかえって問題を複雑化してしまうように感じていましたので、純粋にロジックだけを追うように努めていました。予備校はそれでは商売にならないので、さまざまなメソッドを繰り出してくるとは思いますが、CRは普通にロジックを追うだけで何とかなる部分が大きいと思います。勉強方法としては、Official Guideの問題をキッチンタイマーで最初は一問120秒、次は一問90秒などと時間を計りつつ何度も解いていきました。

SCはGMATのもっとも肝となるパートであると思います。私はGMAT対策の時間の9割以上をSCに費やしたように思います。これについては予備校の講座が効果的でした。最初は講師の兄ちゃんの言っている意味すらよく分りませんでしたが、講座を終えて、Official Guideを2−3回繰り返して解いた頃には、おおむね「SCはもう掴んだ」というような気分になっていたと思います(この気分と点数とが直結していないところがミソですが)。勉強方法としては、Official Guideを繰り返し繰り返し解くこと(SCだけは7−8回はやったと思います)と、Official Guideのコピーをどこにでも持ち歩いてちょっとでも時間があればそのコピーを見ながら頭の中でパターンを整理することを心がけました。会社の昼休みなどには、コピーを持ってトイレの個室にこもってこれをやっていました。職場では推薦状をお願いしていた上司以外には秘密にしていたためトイレでやっていましたが、狭いトイレの個室でSCをやっていると一瞬「自分は何をやってるんだ?」という疑問にかられます。あまりこれはお勧めしません。なお、SCについても自宅で解く時はキッチンタイマーで一問90秒、一問60秒、などと時間を計りながら解いていました。

RDはやっかいです。私のようなドメスティック野郎にとっては、時間内にRD四題をすべて解くことは至難の業です。予備校でも「最初の二問は解いて後ろの二問は捨てなさい」と繰り返し言われました。しかし、友人の帰国子女などは、RDを四題全部じっくり解いて初めて高得点が出た、という人もいますので、各自の英語力によって当然戦略は違ってくると思います。私は7回のGMAT受験のうち三回は四題すべてをちゃんと解き、四回は後ろ二題をかなりいいかげんに流しました。結果は全部解いた三回のVerbalスコア(21、22、26)はすべて二問スキップした四回(27,27,28,34)のスコアを下回っています。しかし、このことが「後ろ二問スキップ作戦」の有効性を証明するものであるかは不明です。ちなみに自己ベストを出した時は、一問目と二問目はちゃんと解き、三問目は本文をスキミングして問題もざっと読み何となく正しそうなものをクリックし、四問目は読みもせずにランダムクリックでした。

AWA

AWAは予備校のAWA講座を受講してからは明らかによくなったと思います。予備校でもらう教材の中から自分に合うテンプレートをArgument、Issueそれぞれ選んで準備する以外、日常の勉強というのは特にしていませんでした。予備校では「まず構成をスクラッチペーパーに書き出してから、タイプし始めるように」と指導されましたが、筆の遅い私はそれではとても満足のいくボリュームを書くことはできませんでしたので、始まると同時に書き始め、書きながら構成も考えるスタイルでやりました。AWAに限らず全般に言えることですが、予備校の指導は、「うむ。一応聞き置く」という姿勢で、自分に合うように適当にアレンジすることが必要であると思います。あまり本質とは関係ないですが、私はAWAで使用するあの極太のフォントが大好きであったため、AWAの試験は「おー太い太い」とか思いながら実に楽しく受けることができました。変かな?


スコア推移をご覧になって分るとおり、私は全7回もGMATを受けています。周囲にはもっと受けている方もいます。しかし、2002年度からは年間5回までしかGMATを受験できないように制度変更がされるそうです。とにかくGMATを毎月予約する、という方法をとっていた我々の時代とは違って、ある程度勉強して準備を万端にしてから受験するといったように戦略の変更を余儀なくされると思われます。